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まほろ駅前多田便利軒 [VARIOUS DAYS]

 毎晩、入浴する。
 湯船につかるのだ。寒い時期、ぽかぽかに温まって、ふー、とひと息ついて布団にもぐりこむのがいい。
 温まるまでゆっくりと、湯船につかりたい。ただそれだとどうしても、結構な時間を必要としてしまう。手ぶらで入るとめんどくさくなってしまうから、私は必ず小説と湯船につかる。

 今や入浴中の読書は、それほどマニアックではないと思われる。
 ** こんなのもあるぐらいだしね

 もちろん、紙に水は天敵であり、髪や体を洗うときにまで本を浴室に持って入っているわけではない。全部済ませて、さあ、湯船、のタイミングで脱衣所で待つ小説を手に取るのだ。
 時間にして15~30分程度の読書タイム。どんなに忙しくても、時々居眠りしそうになっても、やめられない私の冬の至福の時間だ。



 ミステリ好きだが、本格が好きなわけではない。キャラ萌えするタイプだから、登場人物の魅力でどうとでもなる。基本的に、登場人物が魅力的なら、物語もしっかり進むと思っている。ミステリだとトリックや背景の設定をしっかりと構築する必要があるけれど、それでも人物像でヘグッたら、おもしろさも魅力も半減だ。

 この間は、川上弘美さんちのニシノユキヒコがいいなあ、なんて思っていたけれど、三浦しをんさんちの行天春彦が今はかなりイケている。




 三浦しをん嬢のことは、エッセイやひととなりを雑誌で読んだり、目にしたりしていたものの、小説を読むのは初めてだった。直木賞受賞、は知っていたけれど、『まほろ駅前多田便利軒』がそうだった、とは買って読み始めて、しばらくするまで気づいていなかった。
 そう、読み始めてすぐ行天ていいなあ、と思い、そして三浦しをんていいなあ、と思い、他にどんな作品があるんだろう、と思い、ネットで調べて、あー、そうだったんだ、と知るにいたる。

 多田も魅力的な男だが、その多田を振り回す行天が、本当にたまらなくいい。

 3人称で語られているが、そこまで客観的に書かれている感じではない。視線は多田のもののような気になるけれど、一緒になってその場にいるような感じにもなる。多田便利軒のソファに座って、ふたりが煙草を吸うのを眺めているような。



まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 文庫








 途中―掟破りなことを1度してしまった。
 やりたくないし、やったところでどうしようもないし、やって後悔することもたくさんあるし、そこで折れることもあるだろうけど、『もうこのままじゃあ、いてもたってもいられないッ』と思ってしまった。

 ページを…読まずにめくってしまったのだ。パラパラと文字を簡単に追いながら、欲しい答えが出てくるのを探してしまった。本当はきちんと。多田と一緒にいなくちゃならなかったのに。行天が心配で、まさかね、と思いながら、それはないよね、と信じながら。大丈夫だって!と思ったけれど、ページをめくる手をもう止められなかった。



 それぐらい。
 行天が好きだ。









 っていうかね。行天が好き、って……んもー、ヘンだからッ

 好きでしかたないけれど、じゃあどんな顔してるか、とかは全然考えてない。考えてない、というより考えられないし、妄想は得意だけど、意外と顔はどうでもいいっぽい。マンガはそのまま妄想するのだけど、小説の場合は、挿絵や表紙とかで絵がついてこない場合、自分で顔を想定することはとりあえずない。

 俳優さんを当てるのも苦手で、今も行天の顔、無理から誰かに、って考えたところで何も出てこない。多田もしかり。ドラマとかにしないでほしいなー、と思ったりする。大抵の場合、温めきってた想像(妄想)と違うことばかりだからだ。





 こんなレビューないだろ、と思うけど。まあ、レビューのつもりじゃないしね。
 相変わらず結構忙しかったりしてるけど、毎晩の読書はしっかり堪能中。こんな楽しみでもなけりゃやってられん。

 この先の多田と行天に幸あれ。

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