motoGP 第16戦ポルトガル [**Valentino ROSSI]
エストリルで
表彰台のトップじゃないなんて―
ひとつ下の段で
トロフィーを抱えて
嬉しそうに笑う
それでも
内心はものすごく悔しかったはず
どんなことがあっても
それは自分自身に
ライヴァルの彼らに
何が起こったとしても
ヨーロッパに戻る。残り2戦。
12ポイント差まで詰めた。
2勝したとしても。追いつかないかもしれない。
だけど。勝たなければもう。話にならない。
プラクティスから飛ばす。予選では驚愕のタイムを叩きだした。
記者会見の席で。頬をピンクに染めながら。
『脳ミソをどこかに置いてきたまま走ったような感じ。ここまでぶっ飛べるとホントに最高!』
珍しく、えらく浮かれポンチなコメント。
相当ヨカッたらしい(照)
自分でも納得できた決勝までの流れ。2番グリッドにコーリンが入って、ヴァレには最高の舞台設定。ニッキーは終盤、コースアウトするミスもあったけれど、1列目は死守できた。
ダニーは、最後のアタックを仕掛けたところで、減速したケイシーに邪魔され、痛恨の時間切れ。振り上げた拳で、何度も空を叩く。やり場のない怒りは理解できるけれど、ふだんの落ち着きはらったダニーにしては、少しそのエネルギーが負に向かっているように感じた。
終了後、ピットに戻ったダニーのもとをケイシーが謝罪に訪れる。ヘルメットを被ったまま、ケイシーの言葉を聞くダニー。最後、ヘルメットを取り、わからないぐらいにくちびるの端を上げた。
雨も心配されたけれど、決勝当日。なんとかもちそうだ。
250ccクラスが終わり、モンスターマシンの咆哮が響きわたった。
スタートをヘグらないで出た。ハナを切るヴァレ。黄色いマシンと白とオレンジ色のマシンが、まず好位につけた。ヴァレの援護射撃をコーリンが受け持つ。
ニッキーとダニーは、争うように前へ出ようとする。ふたりは同じ色のマシンに乗っていても、常にライヴァル関係にあった。チャンピオンシップがかかるニッキー。それでも譲らないダニー。
対照的な2チーム。黄色いマシンは結束していて、白とオレンジのマシンは完全にバラバラだった。
ヴァレを逃がすべく、コーリンが立ちふさがる。3台でバトルしている間に、ヴァレは逃げていってしまう。コーリンにかわされるダニー。さらにニッキーが前に出た。
ダニーの背中からオーラが上がる ―“いけない”と思った。
よくわからない。結果論かもしれないけれど、あの瞬間、嫌な感じがした。
ダニーの背中が強張り、イラッとしたように感じた。
コーナーで。
前のマシンの内側に入りすぎる。“あ”、と思った瞬間、内側に入ったマシンがバランスを崩した。なぜかスローモーションのように見える。内側のマシンが、外にいた同じ色のマシンを道連れにしていく。
はっきりと見えているのに。
そのマシンがレプソルの2台だということを理解するまでに時間がかかる。
マシンに走り寄る。起こそうとする。
マーシャルを両手を上げて呼んだ。
もう動かないマシン。
ヘルメットを脱いで、顔を真っ赤にして叫ぶ。
やり場のない怒り…いや、向かわざるを得ない方向。
ダニーが
ニッキーを
いつかこういうことがあるんじゃないか、なんとなくうっすら
予感というほどのものではないけれど、感じていた
ふたりの間に、“チームメイト”という意識は全く感じられなかった。
あろうことかダニーは。“エース”であるニッキーよりも早く、勝ち星を上げてしまった。
レース中、バトルになると、ダニーが勝つ場面も多く見られた。
250ccを完全に制した自信が生み出すプライドは、ステップアップした先の“エース”であることを求めていたのか。それが叶わなかったことで。まず破るべきはニッキーだと、ダニーは照準を定めてしまったのだろうか…。
最初に近づけなかったふたりは、ダニーが結果を次々と出したことで、ニッキーは危機感を持ち、ダニーは敬意を失い、どんどん離れていってしまった。
ニッキーは、母国から離れている時間が長く、気兼ねない、心を許せる友人と過ごせる時間は少ない。ダニーは、幼い頃から大人の世界を生きてきて、たぶん同年代の友人を持っていないのだろう。motogp.comのインタビュー・ビデオの中で、『一番の親友は?』という問いに、チームスタッフの名を挙げていた。
親子ほど、と言ったら言い過ぎだろうけれど。ハタチの男の子が、“親友だ”と紹介する年の男性では決してなかった。
同じ世代はみんなライヴァル、という感覚だったのかもしれない。
一番近くにいるのに。一番遠かったふたり。
もちろん勝負の世界で。チームメイトは一番のライヴァルでもあるだろう。
それでも。
こんなにもぎこちなく。近くにいる必要はなかったと思う。
『モーターレース史上、最も失ったものの大きい、チームメイト同士のクラッシュ』
そう評されたという。
けれど。
形あるものは何も失われていない。
そして。手の届くところにあったニッキーのチャンピオンシップも。
まだ何も終わってはいないのだ。
ダニーのやろうとしたことは、決して褒められることではないけれど。
怖れない挑戦、負ける気のない気持ち。ヴァレ追撃に、これほど心強い味方はいないはず。
いつかは何かがある、と感じていたふたり。
逆じゃなくて本当によかったと思う。
“申し訳ない”という気持ちでも。ダニーが少し、ニッキーを気にするようになればいい。
そこでニッキーが。ダニーを突き放す強さを見せてくれればいい。
男の子なんだから。
たぶん、それでうまくいくはず。
2位で表彰台に上がる。
トロフィーを持ち上げて、嬉しそうに笑う。
記者会見では、吹っ切れたように話す。
『この結果で、とても満足だよ』
ウソじゃないと思う。
何もかもすべてを。前向きに捉えることのできるヴァレだから。
今回はたぶん。
初めから行くつもりでいたと思う。
雨が心配される状況で、湿度が高く、もう気温はそう高くならない。
中盤から威力を発揮するタイヤより、序盤から行けるタイヤをチョイスしたと思う。
ミディアムでも、少しソフト寄りのタイヤだったかもしれない。
終盤、タレても何とかできる、そんな自信があったのかも。
逃げられる展開だったのに、最後につかまった。
観ているだけの私はアタマを抱えてタメイキを吐いた。
だってもう。本当に。
ヴァレのウイニングランを、ずいぶん観ていないのだもの。
ご参考に…↓ ヴァレの今シーズンです
Circuit | Result | point |
Jerez | 14 | 2 |
winner | Loris CAPIROSSI | |
Losail Circuit | 1 | 25 |
2nd | Nicky HAYDEN | |
Istanbul Park Circuit | 4 | 13 |
winner | Marco MELANDRI | |
Shanghai Circuit | not classified | 0 |
winner | Dani PEDROSA | |
Le Mans | not classified | 0 |
winner | Marco MELANDRI | |
Mugello | 1 | 25 |
2nd | Loris CAPIROSSI | |
Circuit de Catalunya | 1 | 25 |
2nd | Nicky HAYDEN | |
Assen | 8 | 8 |
winner | Nicky HAYDEN | |
Donington Park | 2 | 20 |
winner | Dani PEDROSA | |
Sachsenring | 1 | 25 |
2nd | Marco MELANDRI | |
Laguna Seca | not classified | 0 |
winner | Nicky HAYDEN | |
Automotodrom Brno | 2 | 20 |
winner | Loris CAPIROSSI | |
Sepang Circuit | 1 | 25 |
2nd | Loris CAPIROSSI | |
Phillip Island | 3 | 16 |
winner | Marco MELANDRI | |
Motegi | 2 | 20 |
winner | Loris CAPIROSSI | |
Estoril | 2 | 20 |
winner | Toni ELIAS |
* 上段が順位と獲得ポイント、下段は優勝ライダー(ヴァレ優勝時は2位ライダー)
ロッシは2位だったけど、
充分な結果に満足そうでしたね。
対するニッキーは…可哀相な結果だけど、
これもレースかな…と。
ニッキーは昔のレイニーみたいにステディだけど、
当時シュワンツの方が好きだった自分は、
荒削りだけど1位が何回か取れるアグレッシブなライダーが好き。
何かしでかしてくれそうなワクワクするライダーが好き。
そういう意味では、ロッシはやっぱり不思議なライダーかな。
何かしでかしそうでワクワクするんだけど、
荒っぽくなくて、むしろ凄く楽しそう。
で、ニッキーが認められるには、
やっぱり勝たないとダメなんだよね。
きっと、それが来年以降の課題かな…と。
深夜残業してたおかげで久しぶりに日テレで観れました(笑)。
by のらねこ (2006-10-17 01:15)
柊なお さん こんにちは
ポルトガルGPは微妙な結果に終わっちゃいましたね。
レースの上では過去にも例が有る事とは言え、当事者(N.ヘイデン)には一大事でしょうね。
ヴァレンティーノ(V.ロッシ)が勝てば良いだけのファンには良い結果だったでしょうが、そうでない私は「実力で勝ち取ってこその勝利」なので残念ですよ。
あそこでD.ペドロサが自爆してN.ヘイデンを巻き込まなければ、全力のV.ロッシが観られてT.エリアスにはポディウムの中央は渡さなかったと思うだけに更に残念。
by ふなじゅん (2006-10-17 14:01)
のらねこさん~、こんばんは♪
今まで、ヴァレが表彰台の一番上以外の場所に立った時のパターン。特に2位に入ってるレースは、トップが独走してるんです。
ダニーにしろ、ロリスにしろ、とにかくめちゃくちゃ速くて、完全独り旅。しかたないから2位争いで盛り上げましょうか、ってな具合。
今回、ニッキーが早々に姿を消して、ハナのヴァレには余裕ができた。ワタクシ、ちんまくネット中継での観戦だったのですが、途中でサーバーが落ちてッ(激怒)
ライヴタイミングしか見えなくなっちゃって。G+は、ケーブルおかんが見てたから、途中で『見せて』とも言いづらく。
それでも逃げ切り濃厚じゃん、って。なんか拍子抜けだなあ、なんて。
それがあの展開。おかしいから、ホントに。
時計だけが、差を詰められていることを示していて。『何してるの?』って思いながら。それでも大丈夫だろう、って思ってました。
だけどとうとう。一番最初に表示される名前が、ヴァレじゃなくなって。
急いでテレビに。おかんに代わってもらいました。
画面ではケニーを入れた3人のバトル。それぞれが2台のバトルの漁漁夫の利を狙って虎視眈々。
ノリックとか。『ロッシは2位でも全然いいわけなんで』とか言ってて。
確かに。“ケニーが行けば、控えるかもな”って。少し。
でも。トニには譲らない、と思って見てました。
あれで勝てれば『オレって、やっぱカッコいい~♪』とか思ってるんですよ、きっと(笑)
というか。本気で。
最終戦を前に。緊張が切れてしまわないように。張り詰めた空気の中で、再びニッキーと戦えるように。
わざと抜かされた?
逃げられる脚はあったけれど、バトルの楽しさを、すごさを見せたくて。重たくなってしまった空気を、少しでも盛り上げようとした。
『わざと』
そんなふうに思います。今は、特に。
不思議な人です。目が離せません。
ふなじゅんさんッ!!
ホントです。とてもとても。微妙な結果でした…。
ギリギリの攻防、久しぶりのレース。決勝までのヴァレの調子良さ。期待が高まります。予選後の記者会見を見て、嬉しくてドキドキしてました。
なので。
あの展開はないなあ、って。
“全力のヴァレ”
萎えちゃったのかな、って。レプソルと、やっぱりニッキーとバトルしたかったんだろうな、って。そのつもりで彼はいて。『かかってこいや』ばりに気合入れてたのに。
ヴァレンシアで、彼は見せてくれると思います。そのために2位になったような。そんな思いでいます。5ポイント、は大きいですものね。
転倒したライダーは、みんな大きな怪我なく、ひと安心です。
マルコメも休めるし、ヴァレンシアでは暴れてほしいです!!
by 柊なお (2006-10-17 21:12)
こんにちは。
長文お疲れ様です。
仕事から帰って、御風呂も夕食も短時間で済ませて、TVを点けた直後に悲劇の第3幕が...(その他は、明日記事を書きます)
サインボードで「ニッキー アウト」を見たし、後の2位集団(同じチームのセカンドライダー以外は、そんなに競った事もない2年目の子と、2000年度チャンプ...)は、老練なエドワーズが押さえてくれる...と、油断があったような(例え演技でも)気がします。
個人的には、エリアスがこれで目覚めて大化けすると面白いな...(だって、他のライダーがストレートをアウト側に真っ直ぐ減速してくるのに、イン側からコース幅も使った斜めにタイヤを滑らせながら突っ込んできて、曲がっていくなんて...)と(笑)
ストーナにもらい事故したセテは、再び鎖骨プレート折損だとかで、又手術らしいです(哀)。
泣いても笑っても、次が最終戦どうなりますやら
by HIRO (2006-10-17 22:23)
モーターレースには疎くてすみません。
ロッシを応援してるんですよね。
最後にウイニングランを見れるといいですね^^
by (2006-10-18 19:30)
HIROさん~、こんばんは♪
セテ…そうですか。知らなかったです<再手術
だいぶ良くなってきてたようだから、結構期待していたのです。最終戦、間に合うとよいのですけど。
そんなケイシーにドゥカティからも追い出されてしまうのでしょうか…(切ない)
トニも小さくて、かわいらしいですよねえ。今回の勝利でフォルチュナは二人とも勝ち星がついて。来シーズンも同じ布陣なのかな。期待高いですわ~♪
ヴァレのトンチキさんには困ったもの。予選の記者会見を思い出しては、ウットリする日々でございます(←ヘンタイっぽい)
シンナツさん~ッ
そうなのです。ロッシを応援しているのです!!
会社でもらってきたスポーツ誌に載っていたロッシ。そのときはオートバイレーサーなんだ、ということしかわからなかったのですが、ひと目惚れでした。こんなかわいい人がいたなんてッ!って(照)
昨シーズンは勝ちまくって、本人は少し退屈のムシがうずいてきたらしく。F-1はフェラーリに行くとか(実際、テストに参加したり)、WRCに行くとか(実際、レースに参加したり)、世間を騒がせて。
でも今季は苦しいシーズンになってしまって。開幕でいきなり転倒(それもスタートで)、その後マシントラブルでリタイア続き、復活したかと思ったら、今度は練習中のクラッシュで骨折。
夏休み前のアメリカ、久々のエンジンストップを見たときに、今季の不調ぶりを改めて感じましたわ(涙)
後半は、ドゥカティの手ごわい反撃に遭って、またもや足踏みしています。ずっと表彰台に上がり続けているのですけど、もう3戦…彼の優勝を観ていないのですよーッ
今月末、最終戦ヴァレンシア。
『終わりよければ、すべてヨシ』
勝って締めくくりたいですッ
by 柊なお (2006-10-18 22:25)