motoGP 第3戦トルコ

　ロレンツォは天敵だけど、さすがにあれはかわいそうだった。

　ポールポジションスタートのロレンツォ。1コーナーへの入りで、内に切れ込もうとした矢先だった。いきなり横っ腹に衝撃を喰らって転倒。外へと転がされた。テレビで観ていても『うわ、なんだなんだ!?　あれ、ロレンツォだろ？』で目が丸くなる。
　接触はなかったと思うけど、後ろでも相次いで転倒。結局1周もできずに、5台のマシンがレースを終えた。

　デ・アンジェリス、ドヴィツィオーゾ、バルベラ、ロカテリに高橋くんと兄・青山くんが加わっての先頭集団は、ラップごとに誰かの順位が変わっているような、熱いバトルを繰り広げながらのレース展開。
　ロレンツォのリタイアがなかったら、まず間違いなくここに彼はいただろうし、そうなると展開的にも違ったものになったのだろうな、と。
　天敵だから、いなきゃいないでいいんだけど…。それでもどこか素直にその状況を喜べなかったのは、天敵だからこそ！ガツンとレースでやっつけてほしかったからなんだろうな、なんてアマアマに思ったりした250cc。頑張ってドヴィツィオーゾ!!

　珍しい現象が起きている250ccとmotoGPクラス。トルコで行われたこの第3戦目を終えて、ポイントトップのアンドレア・ドヴィツィオーゾとニッキーは、いまだ表彰台の一番上に立っていない。
　250ccでは、ロレンツォが2勝（50ポイント）も3戦目リタイアでポイントなし。2位1回、3位2回のドヴィツィオーゾが52ポイントでトップになった。motoGPクラスでは、開催替わり優勝のため、3戦すべてで表彰台を獲得したニッキーが、ドヴィツィオーゾと同じ2位1回、3位2回で現在トップ。ポールポジションも全戦で違うライダーが獲得し、motoGPクラスは完全に混戦モードに入った!?

　ということで、“開催替わり優勝”、ヴァレの勝利はおあずけ。制したのはマルコメ。

　ヴァレについては、予選からまた調子がよろしくないみたいで、決勝前のピットでも、あーなんか、今回つらそうだな、とピンと来てしまった。嬉しくない。
　笑って手を振ってはくれたけど、“早く走りたいッ”なウズウズ感はなくて、いろんなことを考えているみたいに見えた。レース後のmotoGPサイトに、ロレンツォの転倒を見て、スタートをどうするか決めた、なんても書いてあって、結果的にそれが裏目に出てしまうのだけど、あれこれ思い悩まず、スパッと行ってよかったのに、とかエラそうに思ってしまった。
　瞬間の判断がほかのライダーとは絶対的に違うし、それを実行に移す技術も、やっぱりほかのライダーとは一線を画すと思えるから、ヴァレについては本当に、彼の思う通りに反応するマシンに乗せてほしい、と思うだけ。

　雨の予選で威力を発揮したブリヂストンだったけれど、ドライ・コンディションとなった決勝では、ポールポジションのクリス、序盤レースを引っ張ったセテ、ホッパーともにズルズルの結果に。ロリスの6位が最高順位。
　暑かったり、完全なウエットだったり、とハードなコンディションだと、どうもブリヂストンはミシュランに先んじるらしい。開幕戦のスペインを制して、すばらしいスタートを決めたブリヂストン。ミシュラン一人勝ちじゃあ面白くないのだから、ぜひとも巻き返してもらいたい!!

　HONDAが心血を注ぐmotoGPクラス。その成果が花開いたトルコ。前を行くSUZUKI、DUCATIが1台、また1台と先頭集団から離脱する中、数を増していくHONDA、RC211V。11周目には完全にHONDAのみのレースとなってしまった。
　4台のRC211Vのバトルとなったトップ集団のうち、半分の2台はこれがmotoGP3戦目のケイシーとダニー。おそろしいほどの成長ぶりを見せつける2人。特にケイシーは、250cc時代よりずっと安定感が増している気がする。大きなミスをする感じがしない。
　前回のカタールで、ポールポジションからホールショットを決めながら、レース中盤まで先頭を走りながら、結果5位でのゴール。小さなミスを見逃してもらえず、そのたびに順位を下げた。だけどこの経験が、彼にとっては何より大きな価値になったように思う。
　最後、マルコメに抜かれてしまったけれど、この経験がまた彼に大きな大きな意味をもたらすと思う。本当にすばらしかった!!

　ダニーはまた…言葉では説明できないような鬼気迫る走りを見せてくれた。彼の走りも一種独特のオーラが出ている感じがする。そして彼は、去年と比べてものすごく熱を増したライディングになっている。
　250ccでは抜けた存在だった。マシンももちろん良かったけれど、相手が不足気味だったのは否めない。無理をしなくてもレース距離があれば、どこかでトップに立てるや、ぐらいの気持ちがあったように感じる。必死になって、それこそなりふり構わず、なんてとてもとても。実際、全く無理しないラウンドもあったんじゃないかな。

　motoGPクラスにステップアップして、想像を絶するようなハイパワーマシンにまたがり、年齢差の大きいライダーたちにまじって走る。何もかも初めてで、戸惑うことも多いだろうけれど、すべてが挑戦となる今季。熱くならないではいられない。
　冷静沈着、年齢を間違えてしまうような落ち着きぶりを見せていた去年より、ずっとずっとカッコいい。最後、本当に最後の最後で転倒、コースアウト。滑っていくマシンを追いかける彼は、必死だった。
　先輩として、力でねじ伏せたマルコメ。彼の勝利はすばらしいものだけれど、今回この2人のライダーの輝きは、それに勝っていたように感じた。そして、この経験はとてつもなく大きなものになると思う。

　次戦は上海。予選を見ても翌日の決勝で誰が表彰台に上がるのか、なんて、どんなレースになるかもわからないのに!?な今季のmotoGPクラス。2勝目を挙げるライダーが出るのか。若き2人のどちらかが勝利をつかむのか。はたまた新しいウイナーの誕生か―。
　待ち遠しい週末。ゴールデンウイークは終わっても、レースはまだまだ終わらない!!　

コメント 4

こんにちは。
いつもの柊なお調ですが、前振り無しで、いきなり冒頭からロレンツォって言われても...（笑）

閑話休題

２５０は、それこそ混戦で最後の最後まで目が離せずにああいう結果になりましたが、ロレンツォの転倒リタイヤもやはりレースだと思います。
MotoGPクラスも、結局ホンダ軍団の中の争いになってしまいましたが、BSも手を拱いている訳もなく、又対抗策を出して来る気がします。

ヴァレのマシンは、一寸重症の様な気もしますが、中盤に向けて、巻き返してくるのは必須ですから、注目しておきたいですね。
by HIRO (2006-05-07 18:09) 

　HIROさん、こんばんは♪
　ロレンツォ、嫌いなんですよー。嫌い、っていうより、まさに“天敵”
　なんかもう、チュッパチャップス口に入れて、棒を出してるサマとか、『うわ～』って。かわいくないし、と（さんざん）
　ケイシーがかわいらしくて、ダニーはまじめそうだったから、たぶん余計にヒールぶりが私の中で倍増してしまったようです。
　それでもやっぱり転倒は嬉しくない。ケガはイヤだし、無事で次はしっかり走ってほしいな、と思います。そしていい加減、ドヴィツィオーゾが勝つ、と。

　125ccが去年と全く逆で、アプリリア一人勝ち状態なので、250ccとmotoGPクラスを楽しみにしたいと思います♪
by 柊なお (2006-05-10 19:45) 

柊なお さん こんにちは
>ロレンツォは天敵だけど、さすがにあれはかわいそうだった
スタートで出遅れたとは言え、ポールポジションでしたからねぇ。
しかも、ぶつけたのが予選14番手の青山周平ですからねぇ。
本人は憤懣やる方がないと思います。

>雨の予選で威力を発揮したブリジストンだったけれど、
タイヤについては特性(得意不得意)って感じですね。
ドライのレースコンディション(長距離)ではミシュランに分が有るのでしょうね。
ブリヂストンはF-1のタイヤと同様の特性を持ち合わせているみたいで、多少サーキットや天候に左右されるのが問題かもしれませんね。

>HONDAが心血を注ぐmotoGPクラス。
2004年/2005年とV.ロッシ一人にやられた状況ですからねぇ。
RC211Vも「V.ロッシだから勝てた」と言われても当然の状況では、開発陣が本気になるもの当然でしょう。
その分、125ccや250cc(特に125cc)の開発が若干疎かになっている感じがします。

>待ち遠しい週末。ゴールデンウイークは終わっても、レースはまだまだ終わらない!!　
そうですね。
by ふなじゅん (2006-05-11 11:47) 

　ふなじゅんさん～、こんばんは♪
　弟・青山くんは、厳しい状況が続いていますけれど、兄は頑張ってますね!!
　よく最後まで踏ん張って、表彰台の一番上を射止めて。すばらしかったです～。今年、マシン変わって、KTMは試行錯誤の途中にも関わらず。高橋くんもよかったし、今年の250は目が離せないですよね～（ロレンツォをやっつけねば！）

　あっという間に、上海が来ました♪
　日曜日は、生中継。楽しみですよね～ッ
by 柊なお (2006-05-11 21:05)