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ツイてるのは誰だ!? [MOTORCYCLE]

 直後は笑い話でした。
 まあ、“泣き笑い”でしたけど。


 その後、自分なりに。
 いろいろと反省を込めて。“自分だけの格言”を心に留めていたりもしましたが…。


 


 


 あれ以来―
 いい手に恵まれた覚えがないような..................。





 


*****




 


 


 『一生に一度。あるかないかだよね!!』
 興奮気味に話す、彼の頬は嬉しそうに緩んでいた。
 元気の出ない私は、だんだんそれを聞いているのがつらくなってきた。
 自分が選んだことだし、自分から“はい”と、さっさと渡したものなのに。
 “もしかしたら”は、確実にあって。21分の1だとしても。そこに可能性はあったのに。


 どんなふうになるのか。わからないこともあったし、人混みにモマれたり、また並んだりするの、もう嫌でたまらなくて。ただひたすら。走るマシンを観ていたくって。あの心臓を震わせる音を、聴いていたいだけだったから。


 


 


 ウソ。


 21分の20で、彼は違う場所に行ってしまう。ほかの21分の1の最高にラッキーな人のところに。
 そんなの絶対嫌だ。そんなことになるのなら、自分のラッキーを祈るより、全員のアンラッキーを願う方がよかった。
 私の前に来ないヴァレなら。


 


 来てくれない方がいい。


 


 


 だって―
 隣にテーブルにヴァレが来て
 私の前に………





 


 泣いちゃいそうだよ








 


 彼は、私みたいにヴァレ一直線じゃない。
 私も、ヴァレがいないのなら、マルコメやケイシーやダニーや中野くんのそばに行きたいなあ、と思う。アンドレアやミカだって、とても好きだから、彼らが出てきてくれたら、すごくすごく嬉しい。


 でも。
 ヴァレがいるとダメだから。


 


 彼は、サイン会があるから、と。わざわざヘルメットを持ってきていた。
 待ち合わせの駅まで、電車に乗ってくるというのに。
 私は、サイン会なんてどっちでもいいと思っていた。
 だから、何も持ってきていなかった。最初からカケラも期待していなかった。






 motoGP、もてぎ2日目。公式予選の日― 


 メインエントランス前の芝生広場に蛇行する列。遅々として進まない。抽選だと言うけれど、ライダーは選べないらしい。どういうシステムなのか―自分の番になるまでわからない。いい加減つまらなくて、早く早くと、途切れ途切れに聞こえるアナウンスやエキゾーストノートに、心は焦る。
 やっと私たちの番が来て。彼が先に前へ出た。ボタンを押すとモニターの中で“ガラガラ”が回る。もう1度押すと、モニターの中で“ガラガラ”の中から玉が出る。


 前の人と同じ。
 一瞬後に『ハズレ』の文字。
 「残念でした」と、気持ち申し訳なさそうな係りの人から、チケットを返される。


 


 私の番。
 チケットを渡すと、「じゃあ、ボタンを1度押してください」
 言われるままに押す。
 「はい。押してください」
 言われるままに押す。


 モニターを見た。
 違う色の玉が出た。




 


 「おめでとうございます~」
 横にいた人が、白い紙を差し出しつつ、それについて説明してくれた。


 ライダーサイン会の開催場所、時間、サインしてもらう物を用意すること、サインペンは用意しなくてもよいこと、写真撮影はできないこと、チーム、ライダーの都合により、サイン会が中止になるかもしれないこと…などなど。
 そして。この時点ではまだ。ライダーは決まっていないこと。



 これだけ並ばされて。
 外れたらどーしてくれるんだ!?というピリピリと。
 これほどまでにヤル気のない、どっちでもいいや感の自分―“当たっちゃいそうな予感”


 当然だよね、という気分になっていて。キターッ!!!!!なんていう、高揚感全くナシ(←つまんないヤツ)




 


 何も用意していなくて。
 そのうえヴァレ以外のライダーが出てきたら、が怖くって。


 彼は『マルコメがいいな。あ、ホッパーも結構いいかも。う~ん、ジュニアだったら感激するなあ』と、盛り上がっている。
 『君が当たったんだから、君が行ってきなよ』と、言ってくれたけど、私はその手に白い紙を押しつけた。


 



 


 グランドスタンドから見ていた。
 小さく区切られた巣箱のような会場。左から並んでいる。私のもらった紙には“P”の文字。当選したラッキーな人たちは、それぞれの巣箱に入って待つ。
 ライダーは、アルファベットの書かれたボールを、箱の中に手を入れて取り出す。バスに乗って、パドックから到着するライダー。続々降りてくる。デジャ・ヴ。去年も観た記憶。


 次々とライダーは、ボールを引き当て、アルファベットのボックスへ向かう。彼が願っていたライダーが出てくるたびに、当たりますように、と祈っていた。


 ダニー、ニッキー、ホッパー、ジュニア、マルコメ…。みんな“P”のボールを取ってくれない。
 決められた時間しかないのに。もらえずに終わったらどうしよう。だんだんさみしくなってくる。
 あと来てないの、誰? バスからはもう誰も降りてこない。




 スクーターの後ろに。黄色いパーカーを着たヴァレ。
 ああ、ヴァレがまだだった。まさかねえ? ひょっとして…


 


 『P』
 ボールを取り出して、そこに書かれたアルファベットを読み上げた。
 声がそのまま残ってる。


 わあッ、と歓声が上がるボックスの中。
 私は遠い場所から。ドキドキして、歩くヴァレを見つめていた。







 


ヴァレのサイン
サインするヴァレ
誰かと話してるヴァレ
帰りは車で

 『ロッシだったら、どうする?』
 『ヴァレンティーノだったら、この帽子に』 


 去年買った、ヴァレのオフィシャル。
 今、私のアイコンになっている楓さんがかぶってる帽子。


 そう話していた。彼のヘルメットを取りに、クルマに戻って帰る道すがら。
 それでも。ギリギリになって。
 『ヴァレンティーノだったら。やっぱりヘルメットの方がいいんじゃない?』


 


 巣箱の中から電話を掛けてきた。
 『どうしよう?』
 『どうもしない。ヘルメットに書いてもらいなよ』


 


  
 


*****









 『マイネルアムンゼンとローマンエンパイアの2頭で決まりだよ!』


 3連複、2頭から流す。フルゲート18頭。
 もーう2頭で間違いないッ!!!!と思っていたから、あとは3着に“誰が来てもいいよ~”な具合に、ほいほいほい、とマークシートを塗りつぶしていく。
 結局、ほとんど総流しじゃないか、というぐらいの頭数になってしまった。一瞬、『あ、ウッチー。…う~ん、でもビリ人気かあ。さすがに厳しいかなあ』


 そのビリ人気、エーピーグリードが逃げる。いい感じに走る走る。ケヤキの向こうを気持ち良さそうに走り、直線を向いた。後続との差はわずかに縮まっていたか―。
 『うぬー。エーピーグリード、結構やるな』と思いながら、それでも『必ず止まる!』
 外を上がる2頭、マイネルアムンゼンとローマンエンパイア。『よし、来いッ』


 


 抜け出した2頭を見て、『あとは何でもOK~ッ』のはずだったのに…。


 


 エーピーグリード、逃げ粘り。
 4着のタイガーカフェ、12番人気。…買ってた。


 


 『うや~、エーピーグリードだよう。ほかなら誰でもよかったのにい』
 『何やってんの? 総流しじゃねーの?』
 『だってさー…さすがのウッチーもビリ人気だったからさー』
 『3連複、取ってたら万券じゃん。なんだよー、せっかくの江戸っ子チャンスだったのになあ』
 『すまぬのー』


 (以上、会社での会話です。こういうとこで働いてました。ちなみに“江戸っ子チャンス”とは、江戸っ子寿司に行く、という意味です)


 


 払戻の画面が出たとき、ちょっと遠くからで、よく見えなかった。4、っていう数字が見えたから、“あー、3連複4万もついたよ”と、思ったりした。
 その直後に聞いた言葉が『3連複、10番、15番、17番でよんじゅうまん…』


 『えええええええッ!!!!!?』


 


 ウソお。40万!?


 


 一気に現実。あと何点? あと3点?
 あと300円!?




 


 この前には。アグネスデジタルとアドマイヤマックスで馬連、万馬券になった安田記念も的中。
 (何気に安田記念とは相性がいいらしく、フェアリーキングプローンが買った安田記念も3点ボックスで1000円ゲット=147,000円に!)


 買うレース数が多くなって、賭ける額は小さくなったけれど。当たっていたのだ、少しずつ。



 遠のく、景気のいい話。














 大好きでいれば
 ヴァレにはきっと会えるはず



 そう思わないとね
 悲しすぎるよねえええッ


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のらねこ

あら、そういう状況だったんですね。
彼氏さんが代わりに行ってサインもらったのは聞いてたけど、
てっきりサインは柊なおさんの何かに書いてもらったのかと…。
彼氏さんのヘルメットに書いてもらってたんですね。
うーむ、
自分で行ってたらサインもそうだけど握手してもらえたかも…とか、
後悔はなかなか尽きなさそうだけど、
自分が行ってたら違うライダーに当たってたかも…ってのはやっぱりあるし、
きっと去年に比べたら今年はここまで接近遭遇した訳だし、
来年はきっと!
パドックパス買って一緒に突撃しますか?(笑)
by のらねこ (2006-10-06 02:15) 

HIRO

こんにちは。
喜怒哀楽?お疲れ様でした。
こればっかりは、”タラレバ”の世界ですからね...(笑)
予選日のパドックのヤマハのプレハブやピット入り口にも沢山の人が、ヴァレの出待ちしてました。
コーリンみたいに、フェイントでピットの違う入り口から入ったりしますから、自分の様に偶々生ヴァレを観れる事も運次第です。
人事を尽くして...って所でしょう(笑)
by HIRO (2006-10-06 11:21) 

ちえちえ

そっかぁ、、残念のような気もするけれど・・・
でもでも。
いつも眺めながら走れるじゃん!!
ニヤニヤしてたら、危険だよ(^^)
by ちえちえ (2006-10-06 18:55) 

まえまえ

微妙〜に残念.....?
いえいえ、凄いラッキーですよね
世界中で何人が同じ境遇になり得るか?と思えば、d(-_^)good!ですよね
by まえまえ (2006-10-07 00:42) 

柊なお

 のらねこさん、こんばんは♪
 握手ねえ…してもらったって。
 詳細に教えてくれたですよ。ニコーッて笑って、サインしてくれてさ、とか。最初は『キミのよーな庶民はヴァレの笑顔をとくと味わうがよい』とか言ってたんだけど(↑何者?)
 私はもう十分に。ヴァレの魅力を知ってるからね、って。

 そう。でも。ホントに。
 “私が行ってたら、違う人だったかもしれない”っては。
 いや、別にね。めったに会える人たちじゃないのだし。誰が出てきても。嬉しいのだろうけど。
 それでも、“違うハコにはヴァレがいる”って思うと、どうしても。
 わがままですよねええ。なかなか困りモノ。
 来年はご一緒に!! パドックパスでGO!!ですわ~♪

 HIROさん~、こんばんはッ
 “もう少しだけ”近くに行きたいだけなんですよ。たぶん。
 何してるより。オートバイに乗ってるヴァレが好きです。それはもう間違いなく。だからまた。早く観たいのですvv
 来年はぜひともに。パドックパスを入手ですわ。金曜日か土曜日にして。ピットウォークと振り分けつつ。
 来年のその頃。ワタクシ、仕事何してるんだろう…(寒ッ)

 まあ、そんな悲しくなるようなことは思わずに。
 それまでにできることをチャクチャクと。頑張っていきまーす!

 ちえちえさん~ッ★
 眺めながら走ってたらねー、どこ行っちゃうかわかんないからね。危険なんだよー。ホントに。普通に道間違えたりするからね。急にウインカー出したり。なんて初心者に優しくないんだ!?って、よく思います(涙)
 なので。見てたら危ないんだよう。

 だけど。ケガしないでほしいよなあ、と。ヴァレのサインにかけて。

 『ヴァレのファンになったでしょう?』って言ったら、『いや、別に』とか言いやがりましたよ。そのときはカチンと来たよね。そのくせ、あの写真撮るときも、ベッドで抱きしめながら『嬉しい~ッ』とか悶絶した日にはッ!!!!
 どーしますか、これ?ってね(←氷点下)

 ヴァレに対する、私の愛は変わらないわッ(それでヨシ)

 まえまえさ~ん、こんばんは♪
 good!ありがとうございます!! ホントに、なかなか巡り合える機会じゃないですものね。
 この私の“もーどっちでもいいんだよッ(半分以上怒り)”のやる気なさが、なぜか運を呼ぶんですよ…。たいがいそうです。『当たりますように!!! お願いしますッ』とか、両手組んで心の中で祈り続けてたりすると、ほぼダメ。
 『まあ、まずダメでしょ』とか思って、気楽にしてると来るんですよねえ。前の会社の面接もそうだったし、SPITZのチケットもそうだし、不思議です。

 また来年も。“もう嫌だ。もう並びたくないッ”とか言ってると、中野くんに会えたりするかもですよねえ。そうなったら嬉しいなあ。
 いい流れになるように。頑張って運を引き寄せたいです♪
by 柊なお (2006-10-08 02:02) 

ぼっこしだいく

柊なおさん、こんばんは。
サイン会、「ライダーは誰になるか分かりません」というあの状況で、
ロッシに当たるなんて、すごいですね。
ご自身で行けなかったのは、確かにとっても残念だったと思いますが…
でも、これで来年はさらに燃え上がって、幸運を引き寄せちゃってください♪
by ぼっこしだいく (2006-10-10 01:07) 

柊なお

 ぼっこしだいくさ~んッ
 すごいはすごいんですけども…。いや、でもホントに。ドキドキしました。自分は全然遠い、グランドスタンドから見てただけでしたが。

 マルコメ出てきたときは、“マルコメ、マルコメ、お願い~ッ”とか思ってたんですよー。で、外れてガッカリしたり。
 ホッパーやジュニアのときも。同じ感じで。
 で、“ビミョー”とか言ってた、チェカさまが出てきて(結構順番遅かったので、かなりドキドキ←違う意味で)、“あー、どうしよう~”って。
 ヘンなひと言とともに、ボックスに歩くチェカさまを見送って、ひと息。でも、あれ、あと誰? どうなっちゃってんの?! 誰も来ないじゃんッ!!って。

 ヴァレの『P』、って声、キャ~、の歓声。現実感がなかったですー。
 ウソみたいで。夢みたい、じゃなくて。

 ヘルメットなんざ持って臨んだ気合入りまくりの人は他にいなかったらしく。じろじろ見られたらしいです。
 ちなみに、『ヘルメットにサインしてもらえますか?』と英語で聞き、『もちろんさ』と笑顔で返され、『ありがとう!』とイタリア語でお礼を言い、握手をしてもらったそうです。

 説明できない複雑な気持ちでいっぱいですが、自分が行っていたら、それこそセテやチェカさまに、熱い握手をかわしてもらってしまったような気が…(よーく考えると、結構面白いかも?)
 だったら中野くんがいいな、とか。だったら125や250からもライダーを呼んでくれ、とか。また図々しいことを山盛り思ったりするので。

 来年は!! パドックパスでノビーにアタック!!
 頑張りましょうね~vv
by 柊なお (2006-10-10 22:57) 

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