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欧州CL チェルシー対バルセロナ [FOOTBALL]

 昨季と同じ顔合わせ。バルサはここで消えた。
 第1戦のスコアも同じ。違いはひとつ。スタンフォード・ブリッジでの勝利だということだ。
 決定的な違い。残すはホーム、カンプ・ノウでのゲーム。―今季こそきっと!!

 この一戦を前に、バルサはリーガ・エスパニョーラで連敗した。アトレティコ・マドリーに1-3、ヴァレンシアに1-0という結果。ともにロナウジーニョを欠いていた。
 ロニーが戻った対ベティス。嬉々としてピッチを走り回るバルサがあった。大勝して臨むチェルシー戦。乗り込む敵地スタンフォード・ブリッジ。

 お互いに少し様子を見るような形で始まった試合は、徐々にその熱を上げていく。前半20分を回る頃、暖気終了、エンジンが全開になる。激しいジャブの応酬は、見ていて圧倒的に魅了される。目が離せなくなる。しかし、打ち合いも長くは続かない。手数で上回るのはアウェイのバルサの方だ。
 右サイドからメッシが上がる。小柄だが、速い。そしてとにかくタフだ。競り合いではほとんど負けない。ボールを取られたとしても、それを取り戻しに行く。
 すばしこい、利発な犬を見ているようだ。ボールから目を離さない。誰がタックルに来ても、自分が倒れないかぎり、ボールを完全に取られてしまわないかぎり、相手の顔を見ることはない。

 デル・オルノのシューズが、メッシの膝に当たる。
 座り込んだメッシは、自分のパンツの裾を確かめている。ほつれているようだ。流されるVTR。デル・オルノのシューズは裏が見えていた。明らかなファウルだ。カードも免れない。
 しかし、審判は笛を吹かなかった。カードの提示もなかった。救いは、メッシに大きなダメージがなかったことだ。

 ボールポゼッションで、バルサがその差を広げていく。ピッチを大きなカンバスに見立て、好きなようにラインを引く。ブルーのユニフォームにストレスがたまっていく。何度となく突破を試みるメッシにつくデル・オルノのイライラは、他の選手より大きかっただろう。
 サイドライン、ぎりぎりを走るメッシに青いユニフォームが喰らいつく。ロッベンだ。二人とも速い。トップスピードのまま、足元でボールを巡る攻防が繰り広げられる。1度ロッベンが奪うことに成功したが、ゴールラインの際、コーナーポストのすぐ横でメッシが内に回り込んだ。ロッベンの懐に入り、ボールを奪った。
 ゴールを仰ぎ見る位置で、メッシの体が沈んだように見えた瞬間、今度は伸び上がるようにして青いユニフォームと倒れていた。デル・オルノだ。

 VTRが流される。ボールをゴール方面へ小さく蹴り出したメッシは、すぐその後を追おうとする。そこにデル・オルノが、ボールではなくメッシにタックルした。それはまるでアメリカンフットボールのように。
 倒れこんだ二人はピッチを転がる。メッシは明らかにそのタックルを予期しており、ダメージはほとんどない。だが、様子を探るように視線を彷徨わせた後、苦しそうに腕を抱えて転がった。
 両チームのユニフォームが入り乱れる中、審判がおもむろに取り出したカードの色は赤だった。

 試合終了後のインタビューで、チェルシーのモウリーニョ監督は、メッシの倒れ方は“演技”とし、「不可解な判定」と不満を口にした。

 あからさま、とまでは言わないが確かにメッシの倒れ方は、アピールが入っていた。だが、その前に同じ選手から膝にタックルを受けているのも事実。それは完全に黙殺された状態で、ひとつのプレイに対しては不可解も、“あれはイエローカード同等”とするなら、致し方ない処置だったか。
 しかし、その場で笛を吹かないかぎり、後から清算するのは断じておかしい。この試合のジャッジぶりには疑問が多かった。明らかなハンドも不問にされていたし、ファウルの指針も一致したものではなかったように思う。
 あまりにも濃厚な試合展開に圧倒されてしまったのか? 素人は許されるが、コントロールする審判がそれでは心もとない。

 両チーム、ゴールを決められないまま後半に突入。一人少なくなったチェルシーが、まずラッシュをかける。あれだけ形を作りながら、ゴールを割れなかったバルサは、開始早々のチェルシーの動きに翻弄される。流れが切られてしまい、逆に持っていかれ気味だ。
 慌てることはなかったが、少しリズムを崩した。FKから1点を失う。それもオウンゴールでだ。

 以前のバルサなら、ここでガタッときてもおかしくなかった。前半攻めに攻め、いい形を作っていたにもかかわらずノーゴール。1人少ない相手にFKから決められ、それがオウンゴールだったとなれば、モチベーションは下がる一方だ。アウェイのスタジアムからは、盛大なブーイングの嵐。
 チェルシーは、1人少ないということを全く感じさせない動きをしていた。勝負どころの勘。しっかり得点する感覚は、さすがリーグ首位のチームだけある。
 うなずかせるチェルシー。しかしバルサは諦めない。

 頼もしくさえ映る、見慣れない黄色いユニフォームの彼ら。足が止まることはなかった。次第にリズムを作り出す。ロニーから、デコからボールが動く。メッシにボールが渡るとスタジアムが揺れるようなブーイングが降ってきた。

 ロニーのFKから同点に追いつく。これもまたオウンゴールだったが、チェルシーには痛すぎる失点。悪夢の始まり。1人少ないという事実が、急に重くのしかかってくる。それまでは魔法のように、そのことは隠されていたというのに。
 一気に流れをつかんだバルサの2点目はすばらしかった。美しかった。震えがくるゴールだった。ロニーから出たボールは、誰もいないスペースにゆるりと転がっていく。スピードは絶妙だ。強すぎず、弱すぎず。追いかけるラーションを待つかのようにボールがそのスピードを落とす。なぜそこに、そのタイミングで、その力加減でパスを出せるのか?
 コンピュータゲームでも、たぶん至難の業だろう。それをこともなげにしてみせるのがロナウジーニョの彼たる所以か。彼は天才だ。圧倒的な天才。彼がバルサにいることを、心の底から幸せに思う。彼のプレイを嬉しく見ることのできる幸福。得がたいものだ。

 2次グループリーグの第1戦が終わっただけだ。しかし“今季はひょっとして…”と思う気持ちを止められない。リーガでの成績も良く、楽しみは尽きない。ワールドカップTMもあり、ハードな時間が続くが、どうか無事にすべてを戦いきれるように―
 願ってやまない。


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