motoGP 第5戦フランス [**Valentino ROSSI]
ここ2年、フランスにいい印象がない。圧倒的だった2005年―続く2006年もValentino ROSSIは変わらず強く速いのだろう、と何のためらいもなく思っていた。疑うことなどカケラもなかった。
けれど。思うように走ってくれないマシンは彼を裏切りつづけ、少し淡いイエローが、そのまま彼の輝きを弱めているのだとすら思った。
2007年は、仕切り直しと臨んだはずだったのに。フタを開ければ真っ赤なモンスターが強烈な速さを見せつけていた。レース途中から降りだした雨にヴァレはただ我慢することしかできなかった。彼のすごさを感じれば感じるほど、同じだけ切なくなった。
雨の上海は、途中から晴れ間をのぞかせた。乾いていく路面、ドライ・コンディションでのスタート。ほかを圧倒するレースぶり。すべてをコントロールしていたのはまぎれもなくValentino ROSSIだった。
気まぐれなフランスの空、決勝当日もグズグズと定まらない雲行きだった。頼むから降ってくれるな、と祈るように思うのは、たぶん彼も同じ気持ち。上海がマグレであることは絶対になかったけれど、ここ2年のルマンを思い返せば、マシンとタイヤを100%信じる気持ちになることは難しかった。それは私だけの思いでも。
スタートで飛び出す赤いマシン。昨年の年間王者は、開幕戦こそ手に入れたものの、その後はなかなか思うような成績を残せていない。Dani PEDROSAや、YAMAHAの快進撃は強敵ミシュランの巻き返しの鮮やかさを物語るものだ。4戦ともに違うライダーがポディウムの頂上に立ち、今季の難しさを表している。
相変わらず慎重なスタートぶりのヴァレ。一瞬、カラフルなマシンの波に包まれてしまいそうになるも、一転、今度はその波にうまく乗ってみせる。いとも簡単に、彼だけに見えるラインをなぞる。
1つずつ順位を上げ、今季最も速いライダーのひとりであるレプソルカラーをパスすれば、あとは赤いマシンを残すのみ。昨年苦渋を舐めさせられたのがウソのようにその差を詰め、スタートから8周目にはトップに立った。
彼が赤いマシンを追いかけている間、彼に追いすがるマシンは続かない。
先頭に立っても、彼のペースは落ちていかない。誰よりも速く、綺麗に走るヴァレの背中を、今度こそウットリとただただ見つめていればよかった。もう大丈夫、と思っていればよかった。
コースサイドで、白い旗が振られるまでは。
白旗―コース上で降雨が確認されたときに降られる色。motoGPクラスの場合は、レインタイヤ装着マシンに乗り替えることが可能―とはいえ、そのマシン交換の時間はレースタイムに含まれている。簡単にはいかない。
昨年のル・マンも同じだった。降りだした雨は強さを増し、ドライタイヤでは到底走ることができなくなった。ライダーは次々とピットに戻り、新しいマシンでコースへ再び出る。トップを走っていたヴァレもマシンを替えた。そのときにはすでに、順位は変わっていた。
どさくさまぎれ―そうとしか言えない。それがルールだとしても。一度ついてしまった差を縮めることは難しく。ウエットな路面ではレインタイヤとしても危険度は大きい。
『降らないで』
ただひたすら、祈ることしかできない。灰色の雲と途切れた向こうに見える青。太陽は隠れきってはおらず、このままもってくれれば、と思いながらヴァレの背中を見つめた。
あとはただ。本当にそれだけだった。
上海と同じように、ヴァレはとても綺麗に走っていた。空の女神がいるのなら、今回はヴァレの願いを聞き入れてくれたように、薄曇りの空はそれ以上、雨を零すことはなかった。
ラップチャートをリアルタイムで追いかけていれば、ヴァレのすごさを客観的に知ることができ、たぶんとても安心して観ていられただろう。ほとんどの周回で、彼は追随してくるライダーよりも速かった。差を縮めることは難しく、逆転など考えられる状態じゃない。
その場所に、彼は戻ってきた。あっけないほど簡単に連勝をしてみせた。
後半、怒涛の追い込みを見せたJorge LORENZOが2位に入り、Fiat YAMAHAのワンツー、3位がTech3 YAMAHAのColin EDWARDSで、表彰台をYAMAHAが独占した。
この日の勝利でアンヘル・ニエトの持つ通算勝利数90(歴代2位)に並んだヴァレのウイニングランを迎えたのは、アンヘル・ニエトそのひとだった。
黒いレザースーツを着た小柄なライダーが、ヴァレのマシンにまたがる。彼はその後ろにちょこんと座り、渡された白地に90・90と描かれたフラッグを持って、最高に嬉しい空気を周囲に散りばめる。
合計180勝のゴージャスなタンデムでウイニングランを見せつけ、ポディウムに戻ってくる。久しぶりに見るヴァレのパフォーマンスにやっと肩の力が抜けた。
次はムジェロ―イタリアだ。
彼のためのサーキットで、彼は91勝を上げるために走る。
そのときが心の底から楽しみで、またキリキリするような緊張感を味わうんだろう。今季はたぶん。ずっとそうなんだろうな、と思う。心配で、ドキドキして。スタートからチェッカーまで、一瞬たりとも目を離せず、祈りながら彼を見つめるのだと思う。
もうそれでいいと感じる。ヴァレを大好きだから。
けれど。思うように走ってくれないマシンは彼を裏切りつづけ、少し淡いイエローが、そのまま彼の輝きを弱めているのだとすら思った。
2007年は、仕切り直しと臨んだはずだったのに。フタを開ければ真っ赤なモンスターが強烈な速さを見せつけていた。レース途中から降りだした雨にヴァレはただ我慢することしかできなかった。彼のすごさを感じれば感じるほど、同じだけ切なくなった。
雨の上海は、途中から晴れ間をのぞかせた。乾いていく路面、ドライ・コンディションでのスタート。ほかを圧倒するレースぶり。すべてをコントロールしていたのはまぎれもなくValentino ROSSIだった。
気まぐれなフランスの空、決勝当日もグズグズと定まらない雲行きだった。頼むから降ってくれるな、と祈るように思うのは、たぶん彼も同じ気持ち。上海がマグレであることは絶対になかったけれど、ここ2年のルマンを思い返せば、マシンとタイヤを100%信じる気持ちになることは難しかった。それは私だけの思いでも。
スタートで飛び出す赤いマシン。昨年の年間王者は、開幕戦こそ手に入れたものの、その後はなかなか思うような成績を残せていない。Dani PEDROSAや、YAMAHAの快進撃は強敵ミシュランの巻き返しの鮮やかさを物語るものだ。4戦ともに違うライダーがポディウムの頂上に立ち、今季の難しさを表している。
相変わらず慎重なスタートぶりのヴァレ。一瞬、カラフルなマシンの波に包まれてしまいそうになるも、一転、今度はその波にうまく乗ってみせる。いとも簡単に、彼だけに見えるラインをなぞる。
1つずつ順位を上げ、今季最も速いライダーのひとりであるレプソルカラーをパスすれば、あとは赤いマシンを残すのみ。昨年苦渋を舐めさせられたのがウソのようにその差を詰め、スタートから8周目にはトップに立った。
彼が赤いマシンを追いかけている間、彼に追いすがるマシンは続かない。
先頭に立っても、彼のペースは落ちていかない。誰よりも速く、綺麗に走るヴァレの背中を、今度こそウットリとただただ見つめていればよかった。もう大丈夫、と思っていればよかった。
コースサイドで、白い旗が振られるまでは。
白旗―コース上で降雨が確認されたときに降られる色。motoGPクラスの場合は、レインタイヤ装着マシンに乗り替えることが可能―とはいえ、そのマシン交換の時間はレースタイムに含まれている。簡単にはいかない。
昨年のル・マンも同じだった。降りだした雨は強さを増し、ドライタイヤでは到底走ることができなくなった。ライダーは次々とピットに戻り、新しいマシンでコースへ再び出る。トップを走っていたヴァレもマシンを替えた。そのときにはすでに、順位は変わっていた。
どさくさまぎれ―そうとしか言えない。それがルールだとしても。一度ついてしまった差を縮めることは難しく。ウエットな路面ではレインタイヤとしても危険度は大きい。
『降らないで』
ただひたすら、祈ることしかできない。灰色の雲と途切れた向こうに見える青。太陽は隠れきってはおらず、このままもってくれれば、と思いながらヴァレの背中を見つめた。
あとはただ。本当にそれだけだった。
上海と同じように、ヴァレはとても綺麗に走っていた。空の女神がいるのなら、今回はヴァレの願いを聞き入れてくれたように、薄曇りの空はそれ以上、雨を零すことはなかった。
ラップチャートをリアルタイムで追いかけていれば、ヴァレのすごさを客観的に知ることができ、たぶんとても安心して観ていられただろう。ほとんどの周回で、彼は追随してくるライダーよりも速かった。差を縮めることは難しく、逆転など考えられる状態じゃない。
その場所に、彼は戻ってきた。あっけないほど簡単に連勝をしてみせた。
後半、怒涛の追い込みを見せたJorge LORENZOが2位に入り、Fiat YAMAHAのワンツー、3位がTech3 YAMAHAのColin EDWARDSで、表彰台をYAMAHAが独占した。
この日の勝利でアンヘル・ニエトの持つ通算勝利数90(歴代2位)に並んだヴァレのウイニングランを迎えたのは、アンヘル・ニエトそのひとだった。
黒いレザースーツを着た小柄なライダーが、ヴァレのマシンにまたがる。彼はその後ろにちょこんと座り、渡された白地に90・90と描かれたフラッグを持って、最高に嬉しい空気を周囲に散りばめる。
合計180勝のゴージャスなタンデムでウイニングランを見せつけ、ポディウムに戻ってくる。久しぶりに見るヴァレのパフォーマンスにやっと肩の力が抜けた。
次はムジェロ―イタリアだ。
彼のためのサーキットで、彼は91勝を上げるために走る。
そのときが心の底から楽しみで、またキリキリするような緊張感を味わうんだろう。今季はたぶん。ずっとそうなんだろうな、と思う。心配で、ドキドキして。スタートからチェッカーまで、一瞬たりとも目を離せず、祈りながら彼を見つめるのだと思う。
もうそれでいいと感じる。ヴァレを大好きだから。
ムジェロ。
あのスペシャルヘルメットは反則でした。映るたびに悶絶。
抜きつ抜かれつの展開だったら、きっと腹筋を痛めていたはず。
でも、なおさんなら、「アレもアリなのよッッッ!」と、
超ドきっぱり言い切ってくれるのではないかと期待♪
by mani (2008-06-01 23:35)
こんにちは。
確かにフランスは、完全にレースをコントロールしてましたね(悔)
ムジェロも、ロッシパターン復活か?って思える位に...まあ、ケーシーに
戦闘力が戻って来たから救いはあったけど、マルコメは踏んだり蹴ったり(哀)
それにしても、あのヘルメットは(大笑)
なおさんの次期ヘルメットは、ハートのアレより、ムジェロのアレでお願いします(核爆)
by HIRO (2008-06-02 10:09)
ロッシ、だんだん状況が良くなってきた感じですね。
イタリアGP、帰ったら録画したのをみないと。
by のらねこ (2008-06-02 14:29)
柊なお さん こんにちは
06年07年のルマン(フランスGP)はヴァレンティーノにとって散々でしたね。
今年も難しいコンディションのレースでしたが、本領発揮巧みなマシンコントロールで勝利!!
通算90勝
Angel.Nieto(アンヘル・ニエト)に並んで歴代第2位です!
ウイニングランで そのA.ニエトを担ぎ出すパフォーマンスを
速くて、上手くて、いたずらっ子のヴァレンティーノが帰ってきた感じですねぇ~♪
ムジェロ(イタリアGP)のヘルメットは正直「流行らない」と思う、ありゃ~ちょっちやりすぎ?!
by ふなじゅん (2008-06-02 17:24)
やっと録画したの見ましたが、
あのロッシのヘルメットは最高ですね(笑)。
あれで負けてたりするとヒンシュクものかもしれないけど、
キッチリ勝ってますしね。
柊なおさんにもぜひ(笑)。
by のらねこ (2008-06-04 14:44)
maniさ~んッvv
ふふふ、そうあれも愛。ヴァレからの愛ですわあああああああッ(壊れ気味)
赤いハートも、ヴァレのびっくり顔も…。
まったくもう、シールドの下でどんな顔してるんだか(笑)
どうやっても負けられないヘルメット。どんな気持ちで被ってたのか―。
大胆不敵でゴージャス。カッコいいヴァレが帰ってきましたvv
HIROさん♪
YAMAHAの好調さは、ヴァレだけじゃなくロレンツォ、コーリンの成績からも明らか。ミシュランもいいですしね。HONDAはダニエルさんがやたらに速いけれど、ニッキーの浮上が待たれます。
ムジェロでは、デ・アンジェリスが頑張ったし、アンドレアは劣るマシンでよくやっています。
そこにきてのKAWASAKIとDUCATI……どうしたことでしょう。
特にDUCATIは、ケイシー以外は惨憺たるアリサマ。まさかマルコメがここまで、なんて予想もしたくなかったです。
ケイシーが抜群の相性で、DUCATI乗りの天才なのか―。
復活を期待します<マルコメ
ふなじゅんさ~ん♪
ヒヤヒヤの白旗でした…。去年の悪夢が(涙)
頼む頼む、頼むからあと30分待ってくれ、と願い続けましたわ。
ところどころに見える青い空を信じて。
同一チームで別タイヤ…Fiatにしたら相当なプレッシャーと緊張感。どちらが抜けて優れていても問題で。
昨年の弱々しさもあったし、YAMAHAは本当にがんばっていますね!
ブリヂストンもヴァレといい関係を築けているよう。これからもいいレースを見せてくれそうです。今年はもてぎ勝利もあるかも……うっとり。
通算90勝…彼にしたら通過点なのだろうな、って。
すごいひとです。すごいひとを見てるんだ、としみじみ思いましたわ。
まあ、あのヘルメットを被っちゃうんだから…
すごいひとには違いないですw
のらねこさん♪
そう、あのヘルメットで負けるわけにはいかないのです。
笑いをふりまくようなネタなのだけど、本当にあのヘルメットでムジェロで負けるようなことがあったら………。
シャレではすまないし、想像するだにおそろしい><
だから、あれを被れるヴァレは本当にすごいのです。
そういうところもものすごく愛しているんですけど~vv
by 柊なお (2008-06-09 13:21)