motoGP 第4戦中国 [**Valentino ROSSI]
開幕して1カ月以上経つ。早くも4戦目だ。ブリヂストンにタイヤを履き替えたヴァレンティーノは、ここまで5位、2位、3位。Valentino ROSSIというライダーでなければ特に悪い成績ではない。むしろ良い方だろう。しっかりとポイントを獲得し、結果的にはチャンピオンシップ・ポイントで3位につけているのだから。
けれど、それはValentino ROSSIというライダーの成績としては全くもって論外だ。私のようにただひたすらヴァレンティーノを愛している人間にとどまらず、多くのレースファンにとって物足りないものに違いない。
結果が結果だけに。内容も振るわない。私自身は勝てない理由が彼にあると思っていない。まともならまず勝ち負けだ。多少マシンが劣っていたとしても、他車との最高速が10キロ近くに及ぶとしても、それでも彼なら何とかできてしまう、と思っている。
事実、昨年の彼はそれを見せてくれていた。年間を通して追いつくことはできなかったけれど。ムジェロで、アッセンで見せてくれた彼の力の凄まじさを、私は一生忘れないだろう。
だから3戦目、エストリルで先に仕掛けて失速した彼を観ているのは本当につらかった。彼が走っているのに途中で放棄したのはこのエストリルが初めてだ。そして、それを最後にしたい。
ヴァレンティーノは決して諦めない。どんなことがあっても。接触されて転倒しても、怒りに拳を振り上げても。彼の意識は常にマシンと走ることにあり、マシンが走れる状態にあれば、彼は走ることをやめない。1つでも前へ、彼は何かを求めて走り、その何かを彼は必ず手に入れて戻ってくる。
3戦は布石―
そう思わせる上海でのレースぶり。完勝、という言葉しか浮かばない。
彼が先頭を走っているのに、不安を抑えきれない。序盤の丁寧な走り、先頭に立ってからのダニエル・ペドロサとのカケヒキの妙、息を入れながらそれとは気づかせないようレースメイクしていく。逃がすと速いダニエル・ペドロサのアタマを抑える。ヴァレのマシンに何かがなければ、何かミスをしなければ、彼がヴァレンティーノを腕だけでパスすることは絶対にない―
わかっていても、不安でしかたなかった。ヴァレは完璧な走りを見せてくれて、今まで観たどんなレースよりも美しく、丁寧に走っていた。だから、彼がそこでミスをする確率は限りなく低く、彼がブリヂストンで初勝利を上げるのを、ただもうワクワクと楽しみに待っているだけでよかったのに。
研ぎ澄まされた彼の走りに翳りは微塵もなく、あの背中を愛しているのだと、うっとりと見つめていればよかったのだ。いつもと同じように。
初めて履いたブリヂストンに馴染むまでの時間…彼が我慢して我慢して手に入れたもの―
上海での勝利を彼は抱きしめていた。ラスト5周はまさに圧巻のひと言。後ろにつけるダニエル・ペドロサの仕掛けどころを完璧に封じた。彼とてやはり終盤…ラスト3周あたりが勝負、と考えていただろう。だが、抜け出して突き放す―彼が脳裏に描いていただろう勝負絵図は、最初の点を落とすことすらできずに終わった。
これまでの得意パターンとは違っていたけれど、彼は自身のマシンとタイヤをコントロールし、その力を最も発揮できる時間をしっかりと計算して走りきった。勝つために絶対不可欠な要素だとしても、実際にできるかどうかはライダーの腕次第だ。そしてValentino ROSSIというライダーは、それをほぼ現実に変えることのできる稀有な存在だ。そのことを改めて見せつけられる。嬉しいぐらい完璧に、最高のレースを彼は久しぶりに見せてくれた。
彼に惹かれ、彼のレースに恋焦がれた。いつでも彼は簡単に勝利を手にしているように思えた。負ける気がしない時期も長くあった。あまりにも速く、強すぎる彼に、他のライダーが霞んで見えた。頼むからもう少しレースを面白くしてほしい、と贅沢すぎる願望を抱いたこともある。
けれど、2年連続して年間チャンピオンの座を他のライダーに譲った。そして7戦もポディウムの一番高いところから遠ざかっていた。勝利に飢え、彼の本当の笑顔に飢えていた。
土曜日の夜―
予選を終え、フロントローを獲得したライダーの記者会見の席で、彼の顔を久しぶりにゆっくりと見た。頬が落ちた気がした。短くした髪が精悍さというより、やつれた印象に見せていた。もっとやわらかく笑うひとなのに、と勝手な思いを抱いた。私は彼の赤ちゃんのような笑顔を愛しているからだ。
トップでチェッカーを受け、勝利を抱きしめてウイニングランに出る。コース脇にマシンを止め、ヘルメットとグローヴを取ってマシンにキスをした。噛みしめるように勝利の余韻をじっくりと味わう。いつもの勝利とは全く違う、彼のそのホッとしたような笑顔とにじみ出る安堵感に胸が熱くなる。
やわらかいオーラが彼を包んで、それを気持ち良さそうに受け止めているように思えた。
長いシーズンはまだまだ続く。上海での勝利は1勝に過ぎない。現に彼のチャンピオンシップ・ポイントは3位のままだ。けれど、この上海での勝利は、これまでの1勝とは全く違う意味を持っている。昨年とは雲泥の差のミシュランの良さ、若い力の台頭…それらすべてを捻じ伏せる力を再び得たValentino ROSSI―
ヨーロッパ・ラウンドで、彼はまた美しい走りを見せてくれるだろう。愛してやまない背中を、私はただうっとりと見ていればいい。そして、弾けるような笑顔と、赤ちゃんみたいな笑顔を楽しみにしていればいい。
我慢してきたのは、ヴァレだけじゃないのだから。
けれど、それはValentino ROSSIというライダーの成績としては全くもって論外だ。私のようにただひたすらヴァレンティーノを愛している人間にとどまらず、多くのレースファンにとって物足りないものに違いない。
結果が結果だけに。内容も振るわない。私自身は勝てない理由が彼にあると思っていない。まともならまず勝ち負けだ。多少マシンが劣っていたとしても、他車との最高速が10キロ近くに及ぶとしても、それでも彼なら何とかできてしまう、と思っている。
事実、昨年の彼はそれを見せてくれていた。年間を通して追いつくことはできなかったけれど。ムジェロで、アッセンで見せてくれた彼の力の凄まじさを、私は一生忘れないだろう。
だから3戦目、エストリルで先に仕掛けて失速した彼を観ているのは本当につらかった。彼が走っているのに途中で放棄したのはこのエストリルが初めてだ。そして、それを最後にしたい。
ヴァレンティーノは決して諦めない。どんなことがあっても。接触されて転倒しても、怒りに拳を振り上げても。彼の意識は常にマシンと走ることにあり、マシンが走れる状態にあれば、彼は走ることをやめない。1つでも前へ、彼は何かを求めて走り、その何かを彼は必ず手に入れて戻ってくる。
3戦は布石―
そう思わせる上海でのレースぶり。完勝、という言葉しか浮かばない。
彼が先頭を走っているのに、不安を抑えきれない。序盤の丁寧な走り、先頭に立ってからのダニエル・ペドロサとのカケヒキの妙、息を入れながらそれとは気づかせないようレースメイクしていく。逃がすと速いダニエル・ペドロサのアタマを抑える。ヴァレのマシンに何かがなければ、何かミスをしなければ、彼がヴァレンティーノを腕だけでパスすることは絶対にない―
わかっていても、不安でしかたなかった。ヴァレは完璧な走りを見せてくれて、今まで観たどんなレースよりも美しく、丁寧に走っていた。だから、彼がそこでミスをする確率は限りなく低く、彼がブリヂストンで初勝利を上げるのを、ただもうワクワクと楽しみに待っているだけでよかったのに。
研ぎ澄まされた彼の走りに翳りは微塵もなく、あの背中を愛しているのだと、うっとりと見つめていればよかったのだ。いつもと同じように。
初めて履いたブリヂストンに馴染むまでの時間…彼が我慢して我慢して手に入れたもの―
上海での勝利を彼は抱きしめていた。ラスト5周はまさに圧巻のひと言。後ろにつけるダニエル・ペドロサの仕掛けどころを完璧に封じた。彼とてやはり終盤…ラスト3周あたりが勝負、と考えていただろう。だが、抜け出して突き放す―彼が脳裏に描いていただろう勝負絵図は、最初の点を落とすことすらできずに終わった。
これまでの得意パターンとは違っていたけれど、彼は自身のマシンとタイヤをコントロールし、その力を最も発揮できる時間をしっかりと計算して走りきった。勝つために絶対不可欠な要素だとしても、実際にできるかどうかはライダーの腕次第だ。そしてValentino ROSSIというライダーは、それをほぼ現実に変えることのできる稀有な存在だ。そのことを改めて見せつけられる。嬉しいぐらい完璧に、最高のレースを彼は久しぶりに見せてくれた。
彼に惹かれ、彼のレースに恋焦がれた。いつでも彼は簡単に勝利を手にしているように思えた。負ける気がしない時期も長くあった。あまりにも速く、強すぎる彼に、他のライダーが霞んで見えた。頼むからもう少しレースを面白くしてほしい、と贅沢すぎる願望を抱いたこともある。
けれど、2年連続して年間チャンピオンの座を他のライダーに譲った。そして7戦もポディウムの一番高いところから遠ざかっていた。勝利に飢え、彼の本当の笑顔に飢えていた。
土曜日の夜―
予選を終え、フロントローを獲得したライダーの記者会見の席で、彼の顔を久しぶりにゆっくりと見た。頬が落ちた気がした。短くした髪が精悍さというより、やつれた印象に見せていた。もっとやわらかく笑うひとなのに、と勝手な思いを抱いた。私は彼の赤ちゃんのような笑顔を愛しているからだ。
トップでチェッカーを受け、勝利を抱きしめてウイニングランに出る。コース脇にマシンを止め、ヘルメットとグローヴを取ってマシンにキスをした。噛みしめるように勝利の余韻をじっくりと味わう。いつもの勝利とは全く違う、彼のそのホッとしたような笑顔とにじみ出る安堵感に胸が熱くなる。
やわらかいオーラが彼を包んで、それを気持ち良さそうに受け止めているように思えた。
長いシーズンはまだまだ続く。上海での勝利は1勝に過ぎない。現に彼のチャンピオンシップ・ポイントは3位のままだ。けれど、この上海での勝利は、これまでの1勝とは全く違う意味を持っている。昨年とは雲泥の差のミシュランの良さ、若い力の台頭…それらすべてを捻じ伏せる力を再び得たValentino ROSSI―
ヨーロッパ・ラウンドで、彼はまた美しい走りを見せてくれるだろう。愛してやまない背中を、私はただうっとりと見ていればいい。そして、弾けるような笑顔と、赤ちゃんみたいな笑顔を楽しみにしていればいい。
我慢してきたのは、ヴァレだけじゃないのだから。
ロッシが勝つと周りの人がみんな笑顔になるって感じがしましたね。
あんなにたくさん勝ってるのにいつも心から子供の様に喜ぶロッシは本当に素敵ですね(^^)
by カンちゃん (2008-05-06 09:28)
カンちゃんさん♪
本当に~vv 今回だけでなくいつもヴァレが勝つとお祭り騒ぎな具合でvv
彼がホントに嬉しそうに笑うから、周りもみんな笑顔になりますよね!!
特に今回は、いろいろ意味の大きい勝利だったと思うから、余計に(しみじみ)
1つ勝つことのすごさと、ただひたすらの喜びを、ヴァレは心から感じているんだろうなー、って。
そういうところにまた、すごくすごく惹かれますわあvv
ヨーロッパラウンドが楽しみになってきました。今までのワタクシは死んだふり(笑)
すばらしいレースを、ワクワクして待ちましょうねッ
by 柊なお (2008-05-06 11:31)
勝利の瞬間、なおさんにメールしようかと思いました。
でも、まだ見てないかもしれないし、と、グッと我慢(笑)。
大きな、大きな1勝。心底嬉しくて、心底ホッとしました。
by mani (2008-05-06 15:11)
こんにちは。
ハラハラ感は、一昨年妙な所で転んでたストーナーがトップを走っていた
昨シーズン良く感じてました(笑)
確かに、これまでのヴァレパターンと違うレース運びでしたが、一番上手くコントロールしていたような>ガキ大将が健在でも、軽くいなしていた気がします。
ストーナーもマルコメも希望の光を取り戻したみたいだからこれからが楽しみです(爆)
by HIRO (2008-05-06 18:35)
maniさ~んッvvv
おおうッ!! そうだったのですねッ<メール
日曜日、ワタクシ後楽園ウインズでしたわあ(笑)
天皇賞だぜー、という誘いにウカウカ乗っかっちゃって。後から『しまった!!』と思ったのだけど、しっかりきっちりビデオビデオvv
天皇賞はウインズのモニターながら、かなり熱く観戦。おっちゃんたちにまじって、「武坊ッ 武坊!!」と声援を送っておりました(ほーう)
負けちゃったのだけど…。武坊&メイショウサムソン、アタマで買ってました。でもアドマイヤはもう絶対に買わんッ!!と決めてたからね~(頑固)
メイショウサムソン、頑張りました。涙出そうでしたわ(うるうる)
帰宅後、すぐにビデオビデオ♪
何もかもすっ飛ばしてmotoGPクラス。予感がありましたわ、今回は!
それでもまあ、不安は不安だったのだけど。
序盤の丁寧さが中盤になっても終盤になっても変わらなかった。丁寧だけど、タイムは上がっていって。ダニエルさんが何してきても慌てず騒がず。パスされたとしても、たぶんパスできただろうな、っては。
ただ、書いてるとおり、何かなければパスされない、とも思ってましたわあvv
ジワリ、と広がる差が。小さくなる背中を最初、ダニエルさんは信じられない思いで見て、でももう一瞬後には全部理解したんじゃないか、と。
ああ、負けた、って。すぐに思ったと思うなー。
次はここ数年、相性の悪いフランス。勝ってほしいけど…。これがなかなか簡単には勝たせてくれないメンバーだからvv
とにもかくにも。ムジェロで勝てるマシンになってきたぞ、ってことがわかっただけでも上海は収穫でした。それがものすごく嬉しい。
ヴァレが勝てないままシーズンが進んじゃったら、誰が年間チャンピオンなんだ?って思ったら、寒気がしたよ。まさかロレンゾウとかだったら、どーするよッ!?って(まあ、ないけど)
やっと本当に「次が楽しみッ><」って言えるようになりました。ウットリしてヴァレの笑顔を待ってますvv
HIROさん~♪
あそこまで2番手に突かれながら、熱くなりすぎず、ミスすることもなく、ラスト3周を待たずにスパートし、完全に突き放してみせた―集中力がハンパなく、メンタルの強さを見せつけた一戦。
ここまで4戦、それぞれ勝者が違って。次の1戦を誰が獲るのか―楽しみです。星勘定として…いくつかはヴァレにいい風が吹くだろうサーキットもあるし。
そして今年こそッ!! ラグナ・セカで勝ってほしい(もてぎはとりあえずいーです←ホントかよ!?)
マルコメの浮上は楽しみですわあ。そしてアンドレアのマシンがも少し良くなれば最高です♪
by 柊なお (2008-05-07 01:27)